始動と暖機

 シングルエンジンは、マルチに比べるとどうしてもエンストしやすいので、始動と暖機は安全のため十分練習したほうがよい。

A エンジンが冷えている場合

1.燃料コックがONになっていることを確認してから、チョーク(スターターレバー)を夏でも冬でも一杯に引いて、アクセルは開けずに、セルを回す。

※「夏はチョークは要らない」とか「少しだけアクセルを開いた方がかかりがいい」というバイクもあるが、それで他に不調がなければ、それはそのバイクの個性なので構わないと思う。ただ、そういうバイクはおそらくどこか多少なりとも調整不良の部分があって、燃費が少し悪そうな気はする。

2.エンジンがかかったら、少しの間(数秒から十数秒)そのままにして高回転(4〜5000回転)をキープし、その後チョークを半分くらい戻して、約2000回転くらいで暖機する。

※最初に4〜5000回転で行う暖機を少し長めに(1〜2分)してやると、安定するまでの時間を短くできるが、音がうるさいので私は早めに回転を落としてしまう。

3.この間に、最初のスタート時のギヤがつながる時のショックを小さくしてやるために、クラッチレバーを何度か握ったり放したりしてやるとよい。

4.季節によって違うが、だいたい十数秒〜1、2分でアクセルの開閉にエンジンがついてくるようになるので、そうしたら回転をあまり上げずに走り出し、3〜4000回転程度でゆっくり走りながら暖機する。急激な操作はエンストの元なので、厳禁。

※静止したままの暖機は安全だが、暖機に時間がかかる上に、騒音と排気ガスで周りに迷惑をかけてしまう。しかも、長い時間(10分以上)放置して暖機するのは、かえってエンジンによくないとも言う。

※暖機運転中は加速して逃げることができないので、ゆっくり走っていると追突されるような流れの早い道での暖機運転はやめるべきであり、特にエンストさせやすい初心者は、完全にエンジンが安定してから走り出した方が安全と思う。

5.走り出して2〜5分もすれば暖まるので、そうしたらチョークを完全に戻す。

※戻すと急に回転が落ちてしまうようなら、まだ暖機不足なので、再び少しチョークを引いて回転を上げて、走行を続ける。

※暖機が済んだのにチョークを戻し忘れると、エンジン不調となり故障と間違えることになる。

B エンジンが暖まっている時

 チョークは閉じたままアクセルグリップを1/8〜1/4程度開いて、セルを押す。
 これでかかりが悪ければ、どこか調整不良。

C 押しがけについて

  エンジンのクランクは重量があるので、一度回り出すと慣性で、つまり自分自身の勢いで回り続けようとするが、最初だけは外から勢いをつけてやる必要がある。
 そこで、ほとんどの市販車はキックスターターあるいはセルモーターを装備し、これでクランクを回して最初の勢いをつけている。
 しかし、レーサーのように重量物を極力排除したい場合や、キックスターターのないバイクのバッテリーが上がってしまったような場合、車輪とクランクをつなぎ、車輪の回転力を使ってクランクを回してやるのが押しがけである。
 一度クランクが回り出せば、ガソリンとプラグの火花がある限り、エンジンは回り続ける。

 クラブマンにはキックスターターがついていないため、バッテリーがあがってしまった場合は、ブースターケーブルで他のバッテリーと直結するか、それができなければ、押しがけをする必要がある。
 クラブマンの押しがけは、車体が軽いため、女性でも慣れればそんなに難しいものではない。一度でも人がやるところを見るとイメージがつかめるので、誰かできる人にやって見せてもらうといい。

1.まず、ある程度直線のとれる安全な平坦地、あるいは下り坂に移動する。下り坂があれば、おしがけは非常に簡単。

2.平坦地ならバイクの左側に立ち、下り坂ならバイクにまたがったまま、クラッチを切ってギヤを2速に入れる。

※1速でもいいが、車体を押すのが重くなるので、女性などでは2速でないと厳しいと思う。

3.エンジンが冷えていれば、チョークも引く。冷えていなければ、チョークは閉じたままスロットルを1/8〜1/4程度開ける。

4.その状態で、平坦地ならバイクを強く押して思いきり走る。下り坂なら、またがったまま勢い良く下っていく。

5.ある程度スピードが乗ってきたら、クラッチを半クラから徐々につなぐ。

6.ぐっと重くなるが、それに負けずにさらに走る。

7.するとゴボゴボとエンジンがうなり出す。

8.エンジンがかかったらすぐにクラッチを切り、スロットルを適度に開け閉めして、回転を調整する。

※押しがけはあくまでクランクに最初の勢いをつけるものなので、すべての動かないバイクがこれで必ず動き出すといったものではない。押しがけしてだめなら、他の点火系や燃料系の不調を調べてほしい。

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