GIAインド研修(2008.11.20~30)報告書
あしたの会・インド」を訪問して


GIAとインドのアーミン・モディさんのとの交流
 アーミン・モディさんは、1987年文部省(当時)JETプログラムで来日。静岡県内で英語助手(ALT)として活躍後、静岡県や東京都で英語講師の教鞭をとる。1998年インドに帰国し、読み書きが出来ない農村地帯のインド女性たちへの教育と自立を目的に、日本からの支援を受け「あしたの会・インド」を設立した。
 GIAとは来日当初から交流があり、数々のイベントに参加協力。一方、GIAでは、毎年会員の提供品によるチャリティーバザーを開催し、売上金の1部を「あしたの会・インド」へ送金し、活動を支えてきた。彼女は青空教室で文字を教えることから始め、更に経済的自立を促す活動にも取り組み、現在のようなインド女性たちの意識改革と自立を導いた。こうしたアーミン・モディさんの長年のボランティア活動が認められ、2008年4月、インド独立60周年を記念して、CNNインド放送局が主催した「草の根ボランティア活動者(リアル・ヒーローズ)」23人の、1人に選ばれた。

◆プネー市郊外のカンターレ・ビレッジ訪問20081124日(月)
 プネー市は、インドのマハラシュトラ州で2番目に大きな都市で、ムンバイの南東にありデカン高原に位置する。今回のGIAインド研修最大の目的地であり、アーミン・モディさんの活動拠点の1つでもあるカンターレ・ビレッジの「アリババ女性センター」に、専用バスで向かった。車窓から見える広大な土地の数カ所は、すでに日本企業が進出することになっているという。道路脇の畑で働く女性たちの姿も目に入ってきた。村には市の中心部から約1時間で到着した。
 建物の中では、近くの公立小学校の女生徒たち20名ほどが、行儀良く座って私たちの到着を待っていた。彼女たちの大きな黒い瞳はきらきらと輝き、にこやかで興味津々な表情は、とてもフレンドリーに見えた。しばらくすると、近くの2つの村からも、高学年の女生徒たちとその母親や父親たち、そして村長さんが到着した。私たちは、村の小学生や女性たちから、1人ひとり香りの良い生花のレイを掛けてもらい、素焼きの小さな象をプレゼントしてもらった。こちらからも、お土産として参加メンバー手作りのギンナンの根付をベルトやカバンに付けてあげて喜ばれた。
 その後、GIAからの寄付金と、インド出身で、GIA会員の、シュクリシュナ・石井さんが主宰する「ボリバルの会」からの寄付金を、「あしたの会・インド」へ授与する式典が行われた。GIAからの寄付金は、義務教育を終えた少女たちの通学用自転車5台と数名の少女たちの奨学金に。「ボリバルの会」からの寄付金は、さらに上級の学校へ行く少女たち10名の奨学金に充てられる。これらの自転車や奨学金は、アーミンさんから名前を呼ばれた少女たち1人ひとりにGIA会員が手渡した。少女たちが進学する学校は、7kmから10kmも離れていて自転車は必需品だ。これまでにも30台の自転車を購入したという。彼女たちに将来の夢を尋ねると、恥ずかしそうな笑顔で、ITや車関連の技術者、会計士、教師、薬剤師、看護師になりたいなどと答えた。一緒に来た親たちも「娘が進学したいのなら大学まで行かせる」と納得していた。
 次に、各村から来た女性たち数名の発表が始まった。それによると現在10の村を中心に各地で自助グループを作っている。1つの地域には、8から10の自助グループがあり、1自助グループは10人から20人で組織され、さらに、その中にハムレットと呼ばれる小さなコアグループがある。ある自助グループでは、1人が毎月50 ルピー(約100円。1ルピーを2円で換算。以下、Rs.と表記。)ずつ出し合い、20人分で1,000Rs.2,000円)集まる。その月にお金が必要な人がその資金を借り(自助)、農場からサトウキビを買い栽培し、ジュースを作って販売したり、数羽の鶏を買い入れ、その卵を販売したりと、日本でいう「無尽」方式で生活を支えてきた。また、その月に誰も利用する人がいない時には、銀行へ預けて利息を得る。収入がないため銀行口座を持つことができなかった彼女たちが、今では銀行からの信用も得て、ローンも組むこともできる。これまで、一度も自分のお金を手にしたことがなかった女性たちが、今では6,000Rs.(12,000)から10,000Rs.20,000円)を預金しているという。また、別の自助グループの女性たちは、村の水不足を解消するために、井戸を深く掘り直すことを提案し、費用の2/3を「あしたの会・インド」から出資し、1/3を村が負担した。村の費用は、村祭りで男性たちがお酒を飲むために蓄えてあった資金から出してもらった。こうした取り組みは、男性による暴力やアルコール依存症の解消にも有益で、収入を得て家計を助ける女性に対する男性の意識も、徐々に変わってきているそうだ。それぞれがローンを借り入れ、小規模事業を経営し自立していく。こうした女性たちの意識改革が子供たちの教育への理解を深めたといえる。
 女性たちは、「あしたの会はお母さんのように、私たちの手をとって1から教えてくれ、とても感謝している」と語った。私たちGIAからの寄付金が目的達成のために、その数%分でも役に立てたことを目の当たりにし、改めて深い感動を覚えると同時に、毎年バザーに出品し協力してくれた会員の方々の善意に心より感謝したい。村長さんの挨拶があり、記念撮影をして授与式は終了した。

 昼食は、女性たち手作りのカレー料理をご馳走になった。作法通り床に座り右手で食べてみる。思ったほど辛くなくてとても美味しかった。      
◆公立小学校を訪問
 昼食後は、近くの公立小学校を訪問した。7年生までが義務教育で男女共学だ。これは、数年前までは考えられなかったことだった。教育を受けられるのは男子優先で、女子の多くは労働力でしかなかったのだから。現在では99%の子供たちが義務教育を受けているという。今でも上級の学校に行くには男子の方が優勢だが、女子でも優秀ならば支援団体の奨学金で進学できるようになった。ここにも住民の意識改革が感じられる。
 各学年1クラスずつの教室に入ると、7年生は机と椅子のある教室だったが、他の学年は全て薄い布を敷いただけの土の地面に座って授業を受けていた。アーミンさんに聞くと、冬や雨の日は寒いとのこと。窓が少なく薄暗い部屋だった。教室に入ると、30名ほどの生徒たちの大きな目は輝いていて人懐っこそうな仕草が可愛らしかった。ここでも、子供たちの歓迎の歌で迎えられ、彼らと一緒に「日本の折り紙」とGIAの「バイリンガル環境かるた」で交流した。「かるた」は2組で遊んだが、その熱狂振りには喧嘩になるかと心配したほどだった。折り紙も、折ってもらいたい生徒が列を作っていた。会員たちは「時間が許せばもう少し続けたかった」と残念そうだった。
◆そして今・・・
 「あしたの会・インド」の最新情報だが、ニムゴーン・ボーキィ村では、あるグループからの大きな援助で、「シャクティ女性乳製品協同組合」を立ち上げ、牛や山羊を飼い、乳、チーズ、バターを販売する事業を展開することになった。一方、別のスポンサーにより心臓手術なども受けられるようになり、元気になった子供たちの例もあるとのことだ。
 また、CNNインド放送局より授与された賞金50Rs.100万円)は、各村の組み立て式トイレ100基を設置する費用に充てられる。アーミン・モディさんによるとインドの農村地帯では、まだトイレがない村が殆どで、レイプなどの被害から女性たちを守るためにもトイレの設置は急務だとか。これらの活動を見聞し、アーミン・モディさんこそ「リアル・ヒーロー」と呼ばれるのに相応しい女性だと感じた。
 今回の現地訪問は、アーミン・モディさんの長年のボランティア活動の見事な成果を見ることができ、GIAからの寄付金も有意義に使われていることを実感した。これからも必要に応じて支援を続けていきたいと思う。  A.S.& I.M.  記

フォートギャラリーNO1 カンターレ・ビレッジ訪問

式典の会場となった「アリババ女性センター」へ到着

参加者全員に生花のレイを掛けてもらい、アーミンさん(左から4人目)と記念撮影

可愛らしい「素焼きの象」の人形をいただき、一同笑顔!

GIAからの寄付金を手渡す、乙部美麻子会長(右)

GIAの寄付金で贈られた自転車5台が、次々と入場してきた時には感激!

村の活動について発表する女性

成績優秀な女生徒に贈られる、上級進学への奨学金を受取った少女と、授賞式に参列した少女の両親

「ボリバルの会」からの奨学金を受賞した10人

村の女性たちが作ってくれたカレー料理。
あまり辛くなくて、とても美味しかった!

カレーのセット

素焼きの象

研修中のカメラマンは Y.Fさん

参列した小学生と受賞者の家族たち。
この日は、試験日と重なり、受賞者たちは、すぐに学校へ戻った
フォートギャラリーNO2 公立小学校訪問

授業風景のビデオ撮影は、もう1人のカメラマンのM..さん()

青空に校舎が映えて

笑顔いっぱいで歓迎の歌を披露

恥ずかしそうに立って挨拶をする少女

ピンクのサリー姿の先生


「日本の折り紙」は大盛況だった


7年生の教室は、机も椅子も整っている

次々と折り紙の注文が・・・

「バイリンガル環境かるた」も大人気だった。英語が分からなくても、顔を机に近づけて、カードを見る少年

鉛筆もらったよ〜

1人ひとりに、お土産を手渡すメンバー